特集 内分泌疾患診断のための5 Steps―「見逃しやすい」を「見逃さない」に変えるために
[Step 3] 外見やホルモン値に惑わされないよう注意する
偽性の病態
山本 紘一郎
1
1岡山大学病院 総合内科・総合診療科
キーワード:
偽性Cushing症候群
,
偽性先端巨大症
,
偽性副甲状腺機能低下症
,
偽性アルドステロン症
Keyword:
偽性Cushing症候群
,
偽性先端巨大症
,
偽性副甲状腺機能低下症
,
偽性アルドステロン症
pp.258-260
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_258
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▪偽性Cushing 症候群は,顕性Cushing と異なり,皮膚の菲薄化や血管透過性亢進といった特徴的な皮膚所見を欠き,dexamethasone抑制試験・24 時間蓄尿遊離コルチゾール値測定・深夜唾液コルチゾール値測定が鑑別診断に有用な可能性がある.
▪偽性先端巨大症では先端巨大症と同様の身体所見を呈するが,成長ホルモン(GH)産生腫瘍は存在せず,内分泌検査ではIGF-Ⅰ基礎値と経口ブドウ糖負荷試験によるGH底値は正常である.
▪偽性副甲状腺機能低下症は低カルシウム血症や高リン血症などの副甲状腺機能低下症に類似した症候を呈するが,副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌は保たれている状態である.
▪偽性アルドステロン症とは血中アルドステロン濃度は高値を示さない(むしろ低値)が,原発性アルドステロン症と同様に四肢脱力・筋力低下や頭重感などの症状を呈する.
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