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非がん性呼吸器疾患の緩和ケア
-呼吸困難を訴える患者に出会ったら?
富井 啓介
1
1神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科
キーワード:
非がん性呼吸器疾患
,
呼吸管理
Keyword:
非がん性呼吸器疾患
,
呼吸管理
pp.492-499
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_492
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非がん性呼吸器疾患の緩和ケアを考えるうえで,呼吸困難への対処は最も重要な点である.そのためには呼吸困難の評価が必要であるが,訴えの個人差が大きく多面的で複雑であり,主として主観的量的評価をせざるをえない.原疾患への標準的薬物療法を十分に行うとともに酸素療法や非侵襲的陽圧換気(NPPV),高流量鼻カニュラ(HFNC,ハイフローセラピー)などの呼吸管理ならびに終末期であればコンディショニングとADLトレーニング主体の呼吸リハビリテーションを行うことが呼吸困難への対処の基本であるが,緩和が不十分であれば送風や鍼治療,セルフマネジメント支援,心理療法といった非薬物療法を可能な範囲で加える.さらに,それでも緩和できない場合は経口もしくは注射薬のオピオイドが考慮される.腎機能の低下がなければmorphineを安全に開始できる1日量10mg以下から始め,必要に応じて増量するが,全例に有効ではないため効果と副作用のモニターを十分行い,効果がないまたは副作用が認容できなければ中止する.
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