特集 好きになる呼吸器学―珠玉の症例集から
珠玉の症例集 ~印象深い症例・思い出の症例より~
[Case 2]機能と形態の両面から責任病巣を特定した世界初のケース
桑平 一郎
1
1東海大学医学部付属東京病院 呼吸器内科
キーワード:
MRI
,
多発性硬化症
,
呼吸不全
,
横隔膜麻痺
Keyword:
MRI
,
多発性硬化症
,
呼吸不全
,
横隔膜麻痺
pp.863-866
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case summary
症例は23歳女性.主訴は呼吸困難.既往歴と家族歴に特記事項なし.X年4月,突然両側の視力低下が出現するも未治療で回復.その後,X年10月に四肢に有痛性筋強直が出現.11月初めから頻回の吃逆あり,同時期に再度視力低下,両眼失明となる.11月13日から両側下肢に脱力出現,急速に上肢に進展.11月17日,呼吸困難が出現し次第に増強,11月20日夜,救急搬送中に呼吸停止,当院収容となる.気管内挿管施行,人工呼吸により意識は改善,翌日には清明となる.知能・精神機能に異常なし.X年4月からの経過中,知覚障害・構音障害・嚥下障害・膀胱直腸障害なし.自発呼吸はないが,心肺および腹部に特記事項なし.両側の視神経萎縮,四肢麻痺の状態.深部反射は四肢で亢進,Babinski反射陽性.胸部単純X線・胸部CT・頭部CTでは異常なし(なお,本症例は約35年前のものであり,MRIは大学病院にもなく一般的ではなかった).
© Nankodo Co., Ltd., 2022