特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第2章:呼吸器
建築現場や解体作業歴が長い中年男性が数週間前からの労作時息切れを主訴に受診してきました.右側胸水を認め,両側の横隔膜直上の胸膜にはプラークを示唆する石灰化が散見されています.どうすればよいでしょうか?
渡邊 崇靖
1
1公立昭和病院 呼吸器内科
pp.395-397
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_395
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
お答えします 石綿曝露が疑われる患者さんに発症した胸水貯留です.胸水貯留の原因を鑑別するために胸腔穿刺を行います.胸水細胞診で悪性所見を認めれば,専門的な精査を行います.胸腔穿刺で悪性胸水や結核性をはじめ感染性胸水や膠原病による胸水などが否定的であれば,良性石綿胸水が考えられますが,診断には胸膜生検や継続的な経過観察が必要です.また,CT検査を実施し,悪性腫瘍を疑う所見がないかをチェックすることも重要です.
© Nankodo Co., Ltd., 2022