特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第2章:呼吸器
左乳がんで化学療法および放射線照射を3ヵ月前に終了した中年女性に,数日前から乾性咳嗽と38℃の発熱が出現し,左肺に異常陰影を認めています.どうすればよいでしょうか?
八木 一馬
1
1慶應義塾大学 医学部呼吸器内科
pp.398-400
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_398
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お答えします 乳がんに対する放射線治療後の患者さんに咳嗽,呼吸困難などの呼吸器症状が出現した際には,放射線肺炎の可能性を念頭に置くことが診断の第一歩です.典型例では胸部CT検査で照射範囲に一致した陰影が認められる特徴があり,とくに最近3ヵ月間に行われた,あるいは現在行われている放射線治療内容の詳細を確認することが重要です.無治療経過観察が可能な軽症例から呼吸不全を呈する重症例まで幅広い病型をとるため,重症度を評価したうえで,全身性副腎皮質ステロイドによる治療介入や適切な経過観察を行います.これら一連の過程において,各診療科(主診療科,呼吸器内科,放射線科)で連携してマネジメントすることが大切です.
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