連載 ~知っているようで,実は十分に理解していない~ 医療に関する制度のあれこれ
第16回 移行医療
望月 葉子
1
1東京都立北療育医療センター 内科・脳神経内科
pp.308-311
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_308
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近年の小児医療の進歩により,多くの命が救われてきました.しかし,その一方で,原疾患が治癒に至らずに持続したり合併症が継続したりしながら,思春期,さらに成人期を迎える患者も多くなっています.このような患者においては,原疾患や合併症の病態生理が年齢とともに変化し,さらに新たな合併症も加わって成人の病態の比重が増していきます.小児を中心とした医療から,成人を対象とする個々の患者にふさわしい医療へと移り変わる段階の医療を “移行期医療” といい,2014年に日本小児科学会から提言1)が出されました.移行の段階は,特定の年齢というより患者ごとに機能的に定義されるので,“移行医療” という用語が使われるようになり,「小児-成人移行医療(transition from pediatric to adult health care)」と表現されています.成人診療科への移行が患者にとってよりよいことと思われても,患者が理解できるように医療者が説明する必要があります.そこで今回は,移行医療についてまとめました.
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