特集のねらい

　本誌において感染症領域を特集した2020年1月号では，2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック時に流行しうる感染症やその対策などを特集した．しかし，その刊行直前の2019年12月31日に中国から新型コロナウイルス感染症（coronavirus disease 2019：COVID-19）に関する最初の報告がなされ，現在のパンデミックに至ったことはご存じのとおりである．2000年以降，重症急性呼吸器症候群（severe acute respiratory syndrome：SARS）や中東呼吸器症候群（Middle East respiratory syndrome：MERS），2009年の新型インフルエンザなど新規の感染症流行がしばしばみられてきたが，COVID-19はこれらのなかでも最も大きな影響を世界に及ぼし，2020年の米国における死因第3位（暫定）となった^1）．