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糖尿病患者数は世界的に増加しており,今後高齢化が進むわが国でもさらなる患者数の増加が懸念される.2021年の国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)の発表では,2019年の推計から世界的に16%(7,400万人)増加しており,成人の10人に1人が糖尿病を有している1).2021年は,1921年にFrederik BantingとCharles Bestがインスリンを発見してから100年という記念すべき年であったが,新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)のパンデミックによりライフスタイルが変化し,その影響は糖尿病患者自身のみでなく,糖尿病診療・研究に携わる医療従事者にも及び,診療体制にも大きな変化をもたらした.そのようななかでも糖尿病診療はめまぐるしい変化と進化を続け,新たな糖尿病治療薬や糖尿病先進技術が使用可能となり,それらのエビデンスも示され始めている.なかでも治療薬においてSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は血糖降下作用のみでなく,心血管疾患や糖尿病性腎症を含めた慢性腎臓病への有用性を示し,海外のガイドラインでは病態によって早期の使用を推奨するなど,糖尿病治療薬の中心的役割に変化しつつある.また,新たな診療報酬の枠組みにより間歇スキャン式持続血糖測定(intermittently scanned continuous glucose monitoring:isCGM)が国内でも広く普及し,加えてより精度の高いリアルタイムCGMやhybrid closed loopのインスリンポンプの登場など,新たな血糖モニタリングデバイス・糖尿病治療デバイスが拡大している.
© Nankodo Co., Ltd., 2022