特集 高齢者における消化器診療
高齢者における代表的消化器疾患とその治療
高齢者消化器がん医療の進歩
磯本 一
1
,
吉田 亮
1
,
菓 裕貴
1
,
池淵 雄一郎
1
,
河口 剛一郎
1
1鳥取大学医学部消化器腎臓内科学
キーワード:
内視鏡的粘膜下層剝離術
,
薬物療法
,
放射線治療
Keyword:
内視鏡的粘膜下層剝離術
,
薬物療法
,
放射線治療
pp.871-876
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_871
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Summary
▪高齢がん患者の特徴は,① 余命が短い,② さまざまな併存疾患,③ ポリファーマシー,④ 生理的な臓器機能の低下,フレイルの増加,⑤ 認知機能の制限,⑥ 個人差が大きい,などがあげられる.
▪がん全体の約半数を占める消化器がんで,がん罹患率では大腸がん,胃がんが上位を占めている.
▪高齢者の早期消化管がんに対して,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は広く適用されている.高齢者では偶発症が致命的になり得ることを念頭に置く必要がある.
▪進行消化器がんに対しても,高齢のみを理由に治療選択はしないが,適応は臓器予備能だけでなく認知機能,余命,QOLなどを統合的に判断する.
▪近年「高齢者のがん薬物療法ガイドライン」「高齢者がん医療Q & A」など高齢者のがん診療の指針が発刊されているが,高齢者がん医療にはさまざまな課題が残されたままである.
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