特集 高齢者における消化器診療
特集のねらい
-超高齢社会においてますます高まる消化器診療の重要性
穂苅 量太
1
1防衛医科大学校消化器内科
キーワード:
超高齢社会
,
消化器診療
,
在宅診療
,
栄養管理
Keyword:
超高齢社会
,
消化器診療
,
在宅診療
,
栄養管理
pp.786-787
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_786
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- 文献概要
本邦をはじめ先進諸国では,医学・医療の進歩・発展と相まって急速な勢いで超高齢社会を迎えており,生活習慣病などの健康問題が一般国民の生活のなかの関心事となっている.今後も高齢者率は増加すると予測されており,2060年には約40%に達するとみられている.高齢者では,生理的に心身のあらゆる器官の機能低下が加齢とともに起こり,その結果として感染防御機能や免疫機能が低下し,恒常性の維持機能も容易に破綻しやすくなると考えられる.このような背景のなかで高齢者の消化器病は,若年者のそれとは異なったさまざまな特徴を有すると考えられる.したがって,高齢者に対しては,若年者の延長線上で得られた知見と高齢者の生理学的な理解など,これまでとは視点を変えた特別な配慮が必須である.高齢者では悪性腫瘍の増加や生活習慣病の増加はもちろんであるが,機能性疾患において非高齢者とは構成が変化することや,新たに免疫機能の恒常性の破綻を背景にアレルギー性疾患の増加が目立ってきている.
© Nankodo Co., Ltd., 2021