特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第10章:内分泌
骨粗鬆症治療に重要な活性型ビタミンD製剤は高カルシウム血症クリーゼをきたすこともある
手塚 雄太
1
,
岡本 好司
1
1東北大学病院 腎・高血圧・内分泌科
キーワード:
ビタミンD
,
骨粗鬆症
,
高カルシウム血症
Keyword:
ビタミンD
,
骨粗鬆症
,
高カルシウム血症
pp.707-710
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_707
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ビタミンDは主に体内で生成・代謝されて,局所に作用する
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一つであるが,他のビタミンとは異なって食物からの摂取量は少なく,ヒトでは体内での生成が大きな役割を担う.ビタミンDは,皮膚で7-デヒドロコレステロールが紫外線刺激により変換されることで合成される(図1).体内で合成されたビタミンDは,食事由来のビタミンDと同様に肝臓で25-水酸化ビタミンD(25-hydroxy vitamin D:25(OH)VD)に変換され,血中ではビタミンD結合蛋白に結合して循環する.25(OH)VDは,蛋白結合状態で比較的安定し,半減期は約3週間であるため,臨床ではビタミンDの貯蔵量(充足度)を反映する指標として用いられている.しかし,25(OH)VDはビタミンDとしての活性が低く,腎臓で1,25-水酸化ビタミンDに変換されて活性体となる.1,25-水酸化ビタミンDは最もビタミンD受容体への親和性が高い代謝体であり,ビタミンDの局所作用の主体を担う.
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