特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第4章:膠原病
全身性エリテマトーデスの治療はこんなに進歩した
上田 洋
1
1神戸大学医学部附属病院膠原病リウマチ内科
キーワード:
低疾患活動性(LLDAS)
,
hydroxychloroquine
,
mycophenolate mofetil
,
belimumab
Keyword:
低疾患活動性(LLDAS)
,
hydroxychloroquine
,
mycophenolate mofetil
,
belimumab
pp.492-495
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_492
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診 断
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の分類基準としては,米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)の分類基準(1982年初版,1997年改訂版;ACR 1997)が長らく用いられてきたが,2012年にSystemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)の分類基準(SLICC 2012)が提唱され,両者は臨床研究のみならず,実臨床においても診断の参考にされてきた.2019年,新たに欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)/ACR共同の新しい分類基準案が発表された(EULAR/ACR 2019)1).新しい分類基準の特徴としては,抗核抗体≧80倍がエントリー基準として設けられたことが大きな変更点であることに加え,これまでの分類基準にも含まれてきた項目に,全身症状として発熱が追加され,点数によって重み付けされたうえで,合計点数によって分類基準を満たすかどうか判定することとなった(表1).その後,臨床的にSLEと診断される患者に対する,各分類基準の感度・特異度がいくつかの論文で検証されている.EULAR/ACR 2019基準は,ACR 1997基準よりも感度が高く,SLICC 2012基準よりも特異度が高いという報告もあるが2),逆に抗核抗体≧80倍以上を満たさないことにより感度が低くなると指摘する本邦からの報告もあり3),今後さらなる検証が待たれる.
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