増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❹妊産褥婦の合併疾患への対応法
全身性エリテマトーデスの増悪
田中 博明
1
,
田中 佳世
1
1三重大学医学部産科婦人科学教室
キーワード:
全身性エリテマトーデス
,
増悪
,
妊娠高血圧症候群
Keyword:
全身性エリテマトーデス
,
増悪
,
妊娠高血圧症候群
pp.317-321
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211248
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遭遇しやすい典型ケース
30歳台.初産婦.20歳台に全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されていたが,転居を契機にフォローアップは自己中断されていた.定期的に発熱していたが,近医で処方された解熱鎮痛薬で対処していた.妊娠後は,妊婦健診を受けていた産婦人科医にSLEを診断されたことがあることは申告していたが経過観察とされ,妊婦健診を受けていた.妊娠26週,季節性インフルエンザに罹患し,1週間経過しても解熱せず,全身倦怠感が増悪したため健診施設を受診した.受診時,全身浮腫,高血圧,蛋白尿を認め,妊娠高血圧症候群(HDP)を疑われたため高次施設へ搬送された.搬送後,内科と共同で精査を行いHDPではなくSLEの増悪の可能性が強く疑われた.すぐにプレドニゾロン,免疫抑制薬の投与を開始したが,汎血球減少,腎機能低下,肺高血圧症など重度の臓器障害を認めたため,妊娠の継続は困難と判断され,搬送翌日に妊娠を終了した.
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