特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第2章:循環器
精神疾患患者は静脈血栓塞栓症に注意する必要がある
皆月 隼
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
抗精神病薬
,
深部静脈血栓症
,
肺血栓塞栓症
Keyword:
抗精神病薬
,
深部静脈血栓症
,
肺血栓塞栓症
pp.387-389
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_387
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静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)は,一般的には周術期や外傷後の安静臥床や骨盤内,腹腔内腫瘍による静脈圧迫などで発生することが多いイメージであるが,循環器領域では精神疾患患者で発症する事態にしばしば遭遇する.精神疾患とVTEの関連の歴史は意外に深く,1965年にすでに抗精神病薬と血栓合併症の報告が存在する.その後,精神疾患そのものや抗精神病薬と血栓症の関連が報告されている.精神疾患は周術期や外傷と異なり,年単位での加療がなされることが多く,経過中に発症するリスクはつきまとうため,精神疾患と血栓症の関連や傾向を正確に把握しておく必要がある.本稿では,循環器内科領域で主に扱うVTEの概説,精神疾患との関連について述べる.
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