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投稿 症例
Parkinson病の起立性低血圧がrotigotineで改善した2例
Change of the dopamine agonist improve orthostatic hypotension of the patients with Parkinson’s disease:two case report
川嶋 将司
1
S. Kawashima
1
1名古屋市立大学神経内科
pp.1277-1280
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_1277
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は じ め に Parkinson病は,主として中脳黒質と線条体を連絡するドパミン神経の障害により進行性に運動障害をきたす疾患である.さらに,認知機能障害・精神症状・起立性低血圧(orthostatic hypotension:OH)などの非運動症状も併発し,これらに対する適切な治療が求められる.非運動症状のなかでもOHは30~58%に発症すると報告され1),頻度の高い症状である.OHは,起立した直後にめまいや失神を生じ,転倒や骨折の原因になり得る.「パーキンソン病診療ガイドライン2018」では,OHの治療指針として,midodrine・fludrocortisone・droxidopaの使用と,これらの開始前に抗Parkinson病薬を含めたOHに影響する内服薬を見直すことを推奨している2).海外の既報では,三環系抗うつ薬・抗ヒスタミン薬・抗コリン作用のある薬剤を最小限にするよう考慮すること,L-ドパや短時間型ドパミン受容体刺激薬の血中濃度のピーク時にOHを認める場合には分割投与を考慮することが提唱されている3).しかし,ドパミン受容体刺激薬の具体的な薬剤選択や使用量の調整方法については,国内外ともに確立した基準がないのが現状である.
OHを呈したParkinson病患者に,貼付型のドパミン受容体刺激薬であるrotigotineを投与し,OHが改善した2例を経験したので報告する.
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