高齢者の循環器疾患における健診・人間ドックの役割

Summary

▪健康寿命の延伸が求められるなか，疾病の早期発見と心不全の予防が肝要である．

▪「脳卒中・循環器病対策基本法」でも「予防推進」は重要項目であり，心血管ドックに求められる社会的ニーズはきわめて高い．

▪個体が老化するように，心血管も老化する．加齢性疾患に共通するメカニズムとして慢性炎症があり，高齢者に併存疾患が多い理由は老化と炎症にある．併存疾患を多く抱える高齢者において，多臓器にわたり包括的な病態評価が行える健診・人間ドックは，ことのほか有用である．

▪疾病の早期発見のみならず，健常者の包括的な臨床データを収集できる健診発の研究は，循環器予防医学に貢献できる．

▪学会の主導する「臨床効果データベース」において，健診データは一次予防の必須項目である．