特集 予防医療―包括的な提供を目指して
座談会
予防医療を提供するジェネラリストの教育に関わる想い
廣岡 伸隆
1
,
遠井 敬大
2
,
髙木 博
3
,
太田 実可子
4
1埼玉医科大学総合診療内科
2東京医科大学総合診療科
3みぞのくちファミリークリニック
4川崎市立多摩病院総合診療専門研修
pp.1141-1150
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika126_1141
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廣岡 高血圧の治療のために毎月かかりつけの先生にかかっていた患者さんが,あるとき腹痛を訴えたところ「大学病院で診てもらったら?」と紹介状を渡されて大学病院を受診してきたので診察したら,大腸がんの多発転移が判明して受診初日に「もう緩和医療しかできることがありません」と言わなければいけない…….こうしたケースは過去にもありましたし,私はここ3年半だけでも4件経験しました.
私自身は米国で家庭医療の研修を受けましたが,米国の予防医療はかかりつけ医が管理・提供することになっていて,時間をとって患者さんに向き合っています.日本にはそういったシステムがないために,今お話ししたような悲劇が起きているのではないでしょうか.「このような状況をどうにかしなければいけない」「バックグラウンドが何科であっても,実施すべき,あるいは実施したほうがいいスクリーニングがあるのではないか」「ジェネラリストが提供できる予防医療はもっと有効活用されてもいいのではないか」と常々考えていました.
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