特集 2019年の白血病診療―新たな武器を上手に活用するために
特集のねらい
急速に変化する白血病診療
神田 善伸
1
1自治医科大学附属病院・附属さいたま医療センター血液科
キーワード:
白血病
,
免疫療法
,
分子標的治療
Keyword:
白血病
,
免疫療法
,
分子標的治療
pp.2040-2042
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_2040
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本特集の目的
今回の特集は白血病である.本誌で4年前にこのテーマを取り上げた際には,次々と新薬が開発されているリンパ腫,骨髄腫領域と比較して,白血病診療の変化は華々しくはないということをEditorialで述べた.歴史的には,慢性骨髄性白血病に対するチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor:TKI)であるimatinibが分子標的治療薬の最初の成功者として注目を集めたのだが,その後,固形腫瘍,あるいは造血器腫瘍のなかでもリンパ腫や骨髄腫に主役の座を奪われた感があった.しかし,2018年にinotuzumab ozogamicin,blinatumonab,gilteritinib,さらに2019年にはキメラ抗原受容体T細胞が白血病の治療薬として新たに承認され,現在もいくつかの薬剤が開発中である.免疫に関連する新規治療が多いということも特徴としてあげられる.一方,サイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome:CRS)など,これまでにみられなかった有害事象が出現すること,いずれも高額な治療薬であること,必ずしも長期的な予後の改善につながっていないことなどから,どのような患者にどの治療をどのように適用すべきかは今後の課題として残されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2019