特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第9章 精神神経科
パニック障害と社交不安障害
和田 健
1
1広島市立病院機構広島市立広島市民病院精神科
pp.1985-1987
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1985
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
パニック障害と社交不安障害とは
1.パニック障害(パニック症)とは
パニック障害は,2013年に米国精神医学会による精神疾患診断基準がDSM-51)へ改訂されたのに伴って,日本語表記が「パニック症」と変更された.わが国における有病率が1.7~3.3%,12ヵ月有病率は0.5%とされ,非常に頻度の高い精神疾患である2).動悸,呼吸困難,めまい,胸痛または胸部不快感,気が狂うことに対する恐怖,死ぬことに対する恐怖などが突発的に起こるパニック発作の反復を特徴とする.DSM-51)によるパニック発作の診断基準では,上記を含む13の症状のうち4つ以上を満たすこととなっている(表1).パニック発作の病態として自律神経系の一時的な過剰興奮が考えられ,同時に強い不安や恐怖,焦燥感を伴う.動悸,呼吸困難,めまい,胸痛などの身体症状が前景となるため,初回発作時にはまず身体的な異常を疑って,一般救急や内科を受診する患者が圧倒的に多いと考えられる.したがってプライマリケアでの初期対応が実は重要で,その後の経過を左右する.
© Nankodo Co., Ltd., 2019