特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第2章 眼 科
加齢黄斑変性と類縁疾患
髙橋 寛二
1
1関西医科大学眼科学講座
pp.1827-1830
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1827
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加齢黄斑変性と類縁疾患とは
加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)とその類縁疾患は,網膜の中心領域である黄斑部の網膜-脈絡膜の境界部に血管新生や萎縮性変化をきたして中心視機能の低下をきたす疾患群である.その病態の中心には網膜色素上皮(retinal pigment epithelium:RPE)とBruch膜の加齢による変性,またその付近の炎症がある.なかでもAMDは中高齢者の視覚障害をきたす疾患のうち,欧米では第1位,わが国では第4位を占める重要疾患であり,人口の高齢化と生活の欧米化によって,今後,高齢者の視覚障害においてさらに重要な位置を占めることが確実である(40歳以上有病率1.6%,2012年久山町研究).これらの疾患群の病態のなかで視機能に最も強く影響を及ぼすのは,脈絡膜血管から発生し,RPEの下または網膜下に発育する脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)である.CNVからの滲出,出血,線維化などによって,視覚の基盤となる視細胞(黄斑部では錐体細胞が主)に強い障害が発生する.
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