特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第1章 外 科
B.心臓血管外科
成人先天性心疾患
宮本 隆司
1
1北里大学医学部心臓血管外科
pp.1732-1739
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1732
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成人先天性心疾患とは
成人年齢が令和4年4月1日から18歳に引き下げられることで成人人口は一時的に増加する.成人先天性心疾患(adult congenital heart desease:ACHD)の患者数はこのような状況による一時的微増はなく,今後も急速に増加し続ける分野であることは間違いない.近年は先天性心疾患者の出生率が1.0%から0.8%と徐々に減少するなかで,年間約9,000人が出生してその半数が単純疾患(心房中隔欠損症・心室中隔欠損症など),4分の1が中等度疾患(Fallot四徴症(tetralogy of Fallot:TOF)・大動脈縮窄症など),4分の1が複雑心疾患(大血管転位症,単心室症など)の症例である1).新生児期から小児期に外科的修復術や内科的カテーテル治療を受けた患者は,幾度かの再手術を受けることもあるが,その後も小児循環器科の外来を受診しながら綿密な経過観察や投薬治療の効果によって,95%以上が成人に到達するようになった.その結果,現在では成人先天性心疾患の患者数は50万人以上と推測されている.一方で,その手術死亡率は2~5%と小児開心術(新生児を除く)より高い数値となってきており,ACHDの診断・病態把握・手術適応・手術方法・術後管理など解決すべき問題点が多数存在している2).
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