- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
TAVIとは
経カテーテル大動脈弁留置術(trans catheter aortic valve implantation:TAVIもしくはtrans catheter aortic valve replacement:TAVR)は,ここ数年で飛躍的に増加している重症大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis:AS)に対する新しい治療法である.重症ASに対する治療のgold standardは大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)である.しかし,SAVRは胸骨正中切開,人工心肺装置が必要で,それ相応の手術侵襲を伴い,症例により術後日常生活に復帰するまでに時間を要する場合がある.TAVIはTAVI弁(生体弁)をかしめたカテーテルを動脈へ挿入,大動脈弁まで進め,それを押し広げるかたちで生体弁を留置する手技である.本邦ではSAPIEN3(Edwards社)とCoreValveTM EvolutTM R/Pro(Medtronic社)の2種類のTAVI弁が使用でき,総大腿動脈,鎖骨下動脈,上行大動脈および心尖部と症例によりさまざまなアプローチが可能である(図1).症例にもよるが局所麻酔で行う施設もあり,SAVRに比較すると患者への侵襲は少なく術後早期の離床が可能である.そのため高齢者(80歳以上)でADLが低下している症例(フレイル),手術リスクが中等度以上の症例はTAVIのよい適応となる.TAVIの治療成績はSAVRと比較し遜色ないことは海外の大規模臨床試験1)および本邦においても報告されている2).2019年には,手術低リスク症例でのTAVIの治療成績も良好であるとの報告3)を受け,さらなる適応拡大の可能性も出てきた.しかし,TAVIはSAVRと比較し弁周囲逆流はほぼ必発であること,TAVI弁の耐久性は不明であることなど,これらが遠隔期成績にどのような影響を与えるかは今後の検討事項であり,何歳以上の症例でTAVI適応とするかは,各ハートチーム内で議論のあるところであろう.
© Nankodo Co., Ltd., 2019