特集 腫瘍随伴症候群とオンコロジーエマージェンシー―病態や治療に伴う多彩な症状
局所症状を呈するオンコロジーエマージェンシー
がん性腹膜炎,イレウス
中積 宏之
1
,
結城 敏志
2
1北海道大学病院腫瘍センター
2北海道大学病院消化器内科
キーワード:
がん性腹膜炎
,
イレウス
,
悪性腹水
Keyword:
がん性腹膜炎
,
イレウス
,
悪性腹水
pp.1571-1574
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1571
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪がん性腹膜炎は,がんが腹膜に播種性転移し,腹水貯留をきたしたり,イレウスや尿管閉塞などの症状を引き起こしたりする状態である.
▪原発巣は卵巣がんが多く,次いで消化器がん,子宮がん,膀胱がんなどで起こる.
▪腹水が増えてくると食欲不振,腹部膨満感,腹痛などが出現する.さらに,悪心・嘔吐や便通異常,水腎症・腎不全や胆管狭窄なども引き起こす.
▪腹部単純X線やCTなどの画像検査により,イレウスの診断や腹水・水腎症・胆管拡張といった間接所見を確認できる.また,腹水検査による確定診断も行われる.
▪がん性腹膜炎に対しては原疾患に対する全身薬物療法が治療の中心となるが,症状緩和のための腹腔穿刺や利尿薬,イレウスに対する治療も考慮する必要がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2019