増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❸術後合併症への対応法
イレウス/腸閉塞
古株 哲也
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学
キーワード:
腸閉塞
,
イレウス
,
虚血
Keyword:
腸閉塞
,
イレウス
,
虚血
pp.141-145
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211215
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遭遇しやすい典型ケース
65歳,女性,身長161cm,体重52kg.既往歴に特記すべき事項はない.子宮体癌,漿液性癌,stage ⅠBの術前診断で,腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清,大網切除術を実施した.術後7週目に腹痛,嘔吐を主訴に救急外来を受診した.腹部超音波検査で腸管拡張とkeyboard signを認め(図1a,矢頭),単純X線検査で腸管は拡張し,鏡面像(niveau)形成を伴っていた(図1b).単純および造影CTで骨盤部小腸が拡張し,肛門側は虚脱していたが(図1c,矢印),造影効果は保たれclosed loopを疑う所見も認めなかったため,癒着による単純性腸閉塞の診断でイレウス管による保存的治療を行った(図1d).しかし,保存的治療で奏効せず,4日目に開腹術を行った.術中所見では骨盤部で小腸壁同士がヘアピン状に癒着していた.血流障害は伴わず,同部位の癒着剝離を行い手術を終了した.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.