投稿 Photo Report
膵臓リンパ上皮囊胞の1例
近藤 武史
1
1神戸大学大学院医学研究科法医学部分野
pp.1363-1363
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_1363
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
症例 62歳,男性.
膵臓とは関係のない死因で死亡した剖検例.膵体部上方に3.7×3.3×3.0cmの囊胞がみられた(図1a).囊胞内容は黄白色の軟らかい断片を含む薄茶色の液体であった.囊胞壁に黄白色の隆起が2つみられた.主膵管との関連はなく,圧迫所見もなかった.病理組織学的には,囊胞壁は重層扁平上皮で被覆され背景にリンパ球を豊富に含む病変であり(図1b),膵臓リンパ上皮囊胞(lymphoepithelial cyst)と診断した.免疫組織化学では,上皮はサイトケラチン(AE1/AE3)陽性であったが,CA19-9は陰性であった(図1c).本症例は行政解剖のためCT画像はないが,文献上では「膵体尾部における軽度の複雑な構造を有し,突出する円形の囊胞」はリンパ上皮囊胞を示唆するとされる.
© Nankodo Co., Ltd., 2019