投稿論文 症例
耳下腺に生じたリンパ上皮性囊胞(lymphoepithelial cyst)の1例
平石 瞳美
1
,
野中 侑紀
,
前岡 尚憲
,
森松 康行
,
呉 偉民
,
上原 幸
,
清水 史明
1大分大学医学部附属病院 形成外科
キーワード:
鰓腫
,
耳下腺腫瘍
,
X線CT
Keyword:
Tomography, X-Ray Computed
,
Parotid Neoplasms
,
Branchioma
pp.1492-1496
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2022078744
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症例は70歳男性で、左耳前部に3cm大、辺縁整、可動性良好な皮下腫瘤を認めた。超音波検査では内部に高エコー領域を有する境界明瞭な腫瘤を認め、単純CT検査では左耳下腺内に、20×16mmの境界明瞭な腫瘤を認めた。臨床診断をワルチン腫瘍と考え、全身麻酔下に左耳下腺腫瘤摘出術を施行した。左耳前部から下顎にかけて皮膚切開して視野を展開し、皮下組織を剥離しながら腫瘍と顔面神経を同定した。神経を温存しながら、耳下腺浅葉とともに腫瘍を切除した。囊胞性病変であり、術中に囊胞壁の一部を切開したところ、内腔から漿液性の滲出液が認められた。病理組織学的所見では、耳下腺内に不整形な囊胞性病変を認めた。囊胞壁の内腔側は1~多層を示す上皮で覆われており、上皮下にリンパ濾胞を伴うリンパ組織を認め、lymphoepithelial cystを思わせる所見であった。標本内に悪性所見はなかった。術後は問題なく経過し、顔面神経麻痺などの合併症は認められなかった。術後7日で退院となった。
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