特集 もっとうまくいく! 病診連携の「伝え方」―わかりやすく伝えるための診療情報提供書作成のコツ
第Ⅱ章 <診療科別>コンサルトのポイント
A.総合診療科へコンサルト
10.腹 痛
石井 孝政
1
,
瓜田 純久
1
1東邦大学総合診療・救急医学講座
pp.493-495
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_493
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本症例では,主訴である右上腹部痛の発症から経過,初診時の診断と対応,そして投与薬剤とその効果,さらに血液検査の結果が記載され,比較的情報量が多い診療情報提供書である.腹痛が主訴であるにもかかわらず,便通異常がなく,発熱もないことなど,陰性症状も記載されている.加えて,婦人科関連の情報も簡潔に記載されている.また,腹部超音波検査も実施されており,限られた時間で,多くの患者さんの診療にあたっている熱心な先生であることが行間から読み取れる.とくに既往歴に今回の腹痛と一見無関係にみえる1年前の右股関節痛が記載されている.整形外科での検査で原因が明らかでなかったこと,非ステロイド性抗炎症薬のみで治癒していたことから,反応性関節炎が示唆された.その原因として最も多いクラミジア感染による肝周囲炎を疑った.造影CT検査を行ったところ,造影早期の動脈相で肝周囲の被膜が濃染される像が認められ,Fitz-Hugh-Curtis症候群と診断.アジスロマイシンの内服治療で速やかに改善した.
© Nankodo Co., Ltd., 2018