特集 ここまできた循環器領域の低侵襲治療
広がる選択肢:以前は手術しか選択肢がなかったが,現在は…
肥大型心筋症への経皮的中隔心筋焼灼術
前川 裕一郎
1
Yuichiro MAEKAWA
1
1浜松医科大学内科学第三講座
キーワード:
経皮的中隔心筋焼灼術
,
中隔心筋切除術
Keyword:
経皮的中隔心筋焼灼術
,
中隔心筋切除術
pp.271-275
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_271
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪肥大型心筋症は,一般的には遺伝性心筋疾患の一つであると考えられており,本邦での正確な有病率は不明であるが,症例数は決して少なくない.
▪病因やその臨床像は複雑かつ多様性に富んでいるが,多くの症例は,従来考えられていたよりも予後良好と考えられている.しかし,一定の割合で薬物療法抵抗性の心不全,不整脈を合併することが知られており,症例により集学的治療を要する.
▪経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)は,薬物療法抵抗性有症候性閉塞性肥大型心筋症に対するカテーテル治療であり,左室内閉塞が原因と考えられる症状の改善を目的とした治療である.カテーテル治療のほかに左室内閉塞に対する侵襲的治療法として,中隔心筋切除術があり,両治療をあわせて最近では中隔縮小療法と総称される.
▪PTSMAは,常に中隔心筋切除術の適応の可能性を念頭に置き,両治療の長所,短所を理解のうえで,症例ごとにハートチームで議論を行ったうえで施行されるべきである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018