特集 ここまできた循環器領域の低侵襲治療
広がる選択肢:以前は手術しか選択肢がなかったが,現在は…
慢性肺動脈血栓塞栓症に対するバルーン肺動脈形成術の実際
杉村 宏一郎
1
,
青木 竜男
1
,
下川 宏明
1
Koichiro SUGIMURA
1
,
Tatsuo AOKI
1
,
Hiroaki SHIMOKAWA
1
1東北大学循環器内科学
キーワード:
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
,
riociguat
,
肺血栓内膜摘除術
,
バルーン肺動脈形成術
Keyword:
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
,
riociguat
,
肺血栓内膜摘除術
,
バルーン肺動脈形成術
pp.261-265
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_261
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Summary
▪慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の第一選択の治療は外科的治療である.
▪唯一適応のある肺血管拡張薬はriociguatであり,運動耐容能の改善効果が報告されている.
▪2009年ころより本邦を中心に非手術適応CTEPHに対してバルーン肺動脈形成術(BPA)が積極的になされるようになった.
▪BPAの適応は ①腫動脈血栓内膜摘除術(PEA)施行困難例,② 内科的治療で効果が不十分例,③ 本人(および家族)がBPAを希望している,④ 重度の多臓器不全がない症例,である.
▪BPAの長期成績として5年生存率90%以上と報告されている.
▪BPAの合併症として,肺障害,血管穿孔,肺動脈破裂,動脈解離などが知られている.
▪手技合併症は約30%に起こり,死亡例の報告もあるため注意が必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018