特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅸ章 高齢者における薬剤使用の注意点
8.漢方薬
高山 真
1
,
有田 龍太郎
1
Shin TAKAYAMA
1
,
Ryutaro ARITA
1
1東北大学病院総合地域医療教育支援部・漢方内科
pp.943-945
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_943
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Summary
▪一般的に高齢者では薬物の吸収・代謝・排泄が遅延する.このため投与後の効果発現が緩徐となる一方で,徐々に薬物成分が蓄積する可能性を考慮しながら薬剤を使用する.また,高齢者では多剤併用となる頻度が高く,他の薬剤の影響も考慮して使用する.
▪偽アルドステロン症は,甘草(かんぞう)含有漢方薬の長期投与の際に考慮すべき有害事象であり,定期的な採血で確認する.
▪間質性肺炎は小柴胡湯(しょうさいことう)に関連する有害事象として重要であり,肝硬変患者には使用しない,インターフェロンと併用しないなどに注意する.
▪腸間膜静脈硬化症の起因の一つに山梔子(さんしし)の長期投与(数年から十年以上)の可能性が指摘されており,山梔子含有漢方薬は漫然と長期投与することは避ける.
© Nankodo Co., Ltd., 2018