特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅸ章 高齢者における薬剤使用の注意点
4.ヒスタミンH2受容体拮抗薬・プロトンポンプ阻害薬
木下 芳一
1
,
角 昇平
1
,
三上 博信
1
Yoshikazu KINOSHITA
1
,
Shohei SUMI
1
,
Hironobu MIKAMI
1
1島根大学内科学講座第二
pp.923-927
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_923
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Summary
▪高齢者は胃食道逆流症やaspirin・非ステロイド系抗炎症薬起因性潰瘍などの酸関連疾患の発症リスクが高い.
▪治療にはヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)が用いられる.
▪高齢者ではH2RAの使用に伴ってせん妄や認知機能障害が発症することがある.
▪H2RAはlafutidineを除いて腎臓から排出される薬剤であるため,腎機能が低下していることが多い高齢者では投与量の調節が必要となる.
▪PPIは肝臓で代謝される薬剤であるため高齢者でも使用しやすい.
▪PPIは強力な胃酸分泌抑制に伴う副作用や,酸分泌抑制に関係しない副作用が長期使用に伴って出現するのではないかと懸念されている.
▪高齢者では胃酸分泌能は健常者でも非高齢者に比較して低下している.
▪胃酸分泌抑制薬は,適応に注意しながら必要最小量を,最短期間使用するべきである.
© Nankodo Co., Ltd., 2018