特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅰ章 高齢者の特性を理解する~生理機能の加齢変化~
4.内分泌・代謝機能
荒木 厚
1
Atsushi ARAKI
1
1東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科
pp.586-591
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_586
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Summary
▪内分泌・代謝系は加齢に伴う変化を受けやすい.とくに,① 視床下部・下垂体・性腺系,② 副腎アンドロゲン,③ 視床下部・成長ホルモン・IGF-1系は低下しやすい.また,インスリンは分泌低下や抵抗性をきたしやすい.
▪一方,コルチゾール,ACTH,遊離T4は加齢変化を認めない.加齢に伴うホルモン作用の低下は認知機能障害,うつ,サルコペニア,フレイルなどの老年症候群や骨粗鬆症,糖尿病,心血管疾患,死亡と関連するという報告がある.
▪長期のホルモンの投与で副作用なく,それらのアウトカムを改善する報告は少ない.今後,ホルモンの加齢変化の機序をさらに解明することが必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018