特集 内科医が診る関節痛・腰痛―リウマチ学の原点に戻る
特集のねらい
リウマチ学の原点に戻る試み
萩野 昇
1
Noboru HAGINO
1
1帝京大学ちば総合医療センター第三内科学講座
キーワード:
リウマチ学
,
関節
,
筋骨格
,
軟部組織
Keyword:
リウマチ学
,
関節
,
筋骨格
,
軟部組織
pp.368-369
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_368
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リウマチ学:真昼か夜明け前か?
現在のリウマチ学は最盛期なのだろうか,それとも夜明け間近なのだろうか,といささか唐突に自問自答してみる.確かに「関節リウマチの滑膜炎を診断し,コントロールすること」については,私たちは20年前より明らかに上手になった,と自負しているし,その傍証となるデータも得られるように思う.しかし,より限定して「本邦の・現在の」,「リウマチ学」となるとどうだろうか.故・七川歓次滋賀医科大学名誉教授は「日本には『関節リウマチ医』はいても『リウマチ科医』はいない」と述べておられた.いま,あらためてその意味を問うてみたい.
rheumatologyの語源はrheumaというギリシャ語,「(身体を)流れるエキス」に帰せられる.「リウマチ」の語を,今日用いられているように,関節関連の症候に対してはじめて用いたのはGuillaume Baillou(1558-1616)とされるが,さらに関節リウマチ,痛風,リウマチ熱などを区別して記載したのは「英国のヒポクラテス」Thomas Sydenham(1624-1689)である.さらに時代が下って19世紀,「神経学の父」であるJean-Martin Charcot(1825-1893)は,診療範囲に関節リウマチ,変形性関節症を含めており,Charcot関節(固有感覚障害による関節症)を記載している.
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