特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅺ章 高齢者の在宅医療とエンドオブライフケア
8.高齢者のエンドオブライフケアと延命医療の選択
会田 薫子
1
Kaoruko AITA
1
1東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座
pp.1064-1070
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_1064
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪人生の最終段階における医療(エンドオブライフケア)に関する厚生労働省や日本老年医学会のガイドラインは,意思決定支援のために参照する臨床倫理ガイドラインである.
▪厚生労働省のガイドラインは,① 医師単独ではなく医療・ケアチームで対応すること,② 本人の意思を尊重し,本人と家族と医療・ケアチームが徹底した合意主義によって意思決定すること,③ 緩和ケアを充実させることの3点を要点としている.
▪日本老年医学会のガイドラインは,本人らしい人生の集大成を支援し,「最善の医療およびケアを受ける権利」を擁護するために,胃瘻栄養法や人工呼吸管理を含めすべての医療行為について,本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性があるときには,治療の差し控えや治療からの撤退も選択肢として考慮する必要があると明記している.
▪延命医療の選択に際しては,一人一人の多様な価値や人生観・死生観を尊重することが求められる.生命維持を優先するあまり,本人のQOLや尊厳を損なってはならない.
▪患者および家族らとよりよいコミュニケーションのプロセスをもち,advance care planning(ACP)を実践することが大切である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018