特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅺ章 高齢者の在宅医療とエンドオブライフケア
4.非がん患者の緩和ケア
-臓器不全群を中心に
平原 佐斗司
1
Satoshi HIRAHARA
1
1東京ふれあい医療生活協同組合梶原診療所
pp.1041-1046
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_1041
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Summary
▪非がん疾患の緩和ケアのニーズは1990年代に行われたRSCDやSUPPORT研究などの大規模な研究によって明らかにされた.わが国の非がん疾患の緩和ケアは,2000年以降老年医学や在宅医療の領域から始まり,2010年以降循環器,呼吸器領域などさまざまな専門領域へと広がりをみせている.
▪心不全や呼吸器疾患などの臓器不全群の非がん疾患の緩和ケアの特徴は,超高齢者が多いこと,多くは慢性疾患であること,予後予測が困難であること,苦痛の客観的評価法が有用であること,自律が損なわれていることが多く,早期からの意思決定支援が重要であることなどがあげられる.苦痛の緩和については,疾患の標準的な治療を最後まで行うことが緩和ケアとなる点が,がんの緩和ケアとの最大の相違である.
▪また,超高齢者が多いため,全身管理,合併症管理が原疾患の管理と同様に重要であること,最大の苦痛である呼吸困難の緩和においては,morphine等のオピオイドの積極的な使用が重要である.
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