書評
『テキスト臨床心臓構造学―循環器診療に役立つ心臓解剖』
國原 孝
1
1東京慈恵会医科大学心臓外科
pp.960
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_960
- 販売していません
- 文献概要
筆者が井川修先生と知り合ったのは,筆者がドイツより帰国した翌年の2014年に『大動脈弁形成術のすべて』(文光堂)という教科書の発刊を企画している段階であった.この手術には大動脈基部の解剖に関する知識が必須であるため,執筆していただける適任者を探していたところ,周囲の誰もが口を揃えて井川先生を推薦したのである.はたしてその内容は期待どおりの素晴らしいもので,ただの解剖学的記載にとどまらず,手術をするうえで必要な情報が,かゆいところに手が届くように網羅されているのであった.それもそのはず,井川先生自身,不整脈を専門とする臨床医であるがゆえ,視点が解剖学者のそれと異なっていたためであろう.この教科書が2019年に英文化される際にもたいへん丁寧に対応してくださり,それ以降,大動脈基部以外の解剖も井川先生の視点で紹介してくれないだろうかと思い続けていた次第であった.
© Nankodo Co., Ltd., 2022