連載 世界の常識,CALSを日本へ!
第❶回 CALSの歴史と概略
植野 剛
1
,
湊谷 謙司
1
G. Ueno
1
,
K. Minatoya
1
1京都大学心臓血管外科
pp.443-447
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_443
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Cardiac Surgery Advanced Life Support(CALS)の歴史は2003年の英国に遡る.冠状動脈バイパス術後の患者が術後4時間で心停止をきたし,その後の4時間に3回もの再開胸を繰り返され,最終的には集中治療室(ICU)のベッド上で人工心肺下にバイパスグラフトの再吻合を受けるという事態に陥った.この現場に実際に携わった看護師や若手医師の多くが,その状況がいかに混乱したものであったか,また,もし系統立った役割分担が確立されていればよりよい対応が行えたであろうことを後に回顧している.この経験を契機として,Joel Dunning先生は,開心術後に特化した蘇生プロトコール,これに基づくトレーニング,チーム対応の必要性を痛感してCALSを確立し,2006年にその有用性を報告した2).
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