特集 日本の心臓移植の今
特集「日本の心臓移植の今」によせて
小野 稔
1
1東京大学心臓外科
pp.3
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu75_3
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1997年10月の臓器移植法施行後,心臓移植が実施されたのは1999年2月であった.2010年7月に臓器移植法の改正法が施行されてからは,生前の臓器提供不同意の意思表示がなければ家族同意での脳死臓器提供が可能となった.それまで年間平均5例程度であった心臓移植は徐々に増加し,2019年には84例に達した.2020年12月までに566例の心臓移植が実施され,国内移植後20年以上経過した症例も現れ始めた.わが国では,限られた心臓移植症例を大切に,かつ丁寧に管理・治療することによって10年生存率は85%を超え,欧米を凌駕する成績を出している.小児心臓移植は2010年の法律改正後にようやく可能となったのであるが,その後着実に増え続け,年間移植数の10%以上が小児心臓移植となる時代に入り,2020年12月までに54例が施行された.
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