書評
『今さら聞けない心臓血管外科基本手技[Web動画付]』
今中 和人
1
1埼玉医科大学総合医療センター心臓血管外科
pp.461
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu73_461
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- 文献概要
私たちはみな,最初は「駆け出し」であった.誰もが活躍したいと願ってスタートをきるわけだが,新参者に憧れの主役が早々に巡ってくるわけもない.当分の間,任せてもらえるのは脇役,つまり心臓外科手術でいえば,大腿動脈の剝離とか大伏在静脈採取といった基本手技になる.ところが,特に一般外科研修である程度の実力をつけたつもりでいると,これらはとても容易で退屈に思え,あまり興味も湧かず,我流だとか見よう見まねになりがちである.もちろん,それでも問題が起きないことのほうが多いが,グラフト損傷や術後トラブルを生じ,はじめて顔色を失いつつ成書を繙いてみると,中心的でない手技のことを詳述している書物が意外に少ないことに気づくものである.しかし基本手技について教授・部長クラスに教えを乞うのは随分時代がかわったとはいっても畏れ多く,それでは,とすぐ上の先輩に尋ねてみると,なんと同じように見よう見まね,まるで外科手技の“do処方”のようであったりする.しかし基本手技についても,原理原則を少なくとも一度はきっちりと学んでおくべきである.
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