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Ebstein病(EA)は,現在では全先天性心疾患の1%未満であり,1866年にEbsteinによって三尖弁の異常が原因でもたらされる特異な臨床症状をもつ疾患として報告された1).その後,この疾患は三尖弁の異常のみならず,右室の形態的・機能的異常を特徴とする疾患群として理解されるようになった.さらに三尖弁は右室から発生するという事実から,その形成過程の異常によりさまざまな病型,病態がある2).また合併する心奇形として心房・心室中隔欠損症,右室流出路狭窄,そしてWolf-Parkinson-White(WPW)症候群があり,より複雑な病態となる.さらに三尖弁や右室の解剖学的異常の重症度は発症時期と関係が深く,これにより新生児型,年長児型や成人型に分類して検討されることが一般的である.最重症な型では出生時より重症な心不全とチアノーゼを呈し,高い死亡率を認め,新生児型と呼ばれる3,4).この新生児型における外科治療は今日であっても治療や術後管理に難渋する症例が多い5~7).一方で,EAの多くの症例は成人期まで到達し,その時期に外科治療される.症状が発現する年齢とともに,合併する奇形により重症度が決定されるが,チアノーゼの程度(心房間交通の大きさ),右心機能不全,不整脈が症状に大きく関与している.治療においては右室の容積,機能,右室流出路の程度により病態生理が異なるため,2心室治療(BVR),1.5心室治療(1.5 VR),単心室治療(UVR)のすべての外科戦略が考慮され,その適応に関しては個々の症例の状態によって異なる.本稿は成人期におけるEAについて概説する.
Ebstein’s anomaly (EA) is a rare congenital cardiac malformation and this anomaly is a disorder of a tricuspid valve development in which the valve leaflets fail to delaminate properly from the ventricular wall. Clinical symptoms are age dependent and include cyanosis (size of inter-atrial communication), right-sided heart failure, arrhythmias, and general fatigue on exercise. Optimal timing of surgical intervention is often difficult and must be individualized. Patients have good long-term survival and functional outcomes after undergoing surgery for Ebstein’s anomaly in adult population. Operation includes tricuspid valve repair or replacement, closure of any inter-atrial communications, and appropriate antiarrhythmia procedures.
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