今月の症例
終末期がん患者の全身的苦痛からニーズをとらえた支援
~伴走者としての看護師の「覚悟」~
大友 志穂
1
1独立行政法人労働者健康安全機構中国労災病院看護部/がん看護専門看護師
pp.220-225
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango31_220
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はじめに
進行・再発がんの告知は,患者にとってがんを完全に治す治療ではなく,がんと付き合っていく治療のスタート地点に立つことを意味する.また,治療効果が得られなくなったとき,社会生活に支障をきたしたときなど,急な状況の変化のなか,むずかしい意思決定を迫られる1).また,終末期を迎えた患者や家族には,生活過程で生じるさまざまな気がかりや未整理の仕事について処理しなければならない多くの課題があり,それらは全人的苦痛につながることにもなる2).そのため,進行・再発がん患者の看護にかかわる看護師は,それぞれの重要な局面で,強い不安を抱える衝撃の渦中にある患者や家族の伴走者となり,気持ちに寄り添いながらサポートする力を備えておく必要がある.
今回,筆者は,穿孔性直腸がん(stage Ⅳ:多発肝肺転移・腹膜播種)と診断された患者A氏を受け持った.言葉や文化の壁がある終末期がん患者の全身的苦痛をアセスメントし,対話によりそれぞれの場面によるニーズをとらえて支援することの重要性について学んだため,以下に報告する.

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