特集 通号200号記念特集! 2026年の現在地と未来図 ~“進化”し“深化”するがん看護~
第1章:がん看護の現在地 ~見えているようで見えていないもの~
ケア現場における“患者中心”の構造的パラドックス
田村 恵子
1
Keiko TAMURA
1
1大阪歯科大学大学院看護学研究科(仮称)開設準備室/がん看護専門看護師
pp.130-131
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango31_130
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はじめに:このテーマの“現在地”とは
「患者中心の医療」「患者中心の看護」1)という言葉は,今日では特別な理念ではなく,制度・研修・ガイドラインなどあらゆる場に一種の“共通言語”として定着している.とりわけがん看護においては,治療選択,意思決定支援,緩和ケア,advance care planning(ACP)など,あらゆる場面で“患者中心”が掲げられ,その実現が当然とされている.しかし現場に立つと,この理念がむしろ形骸化し,制度上の項目を満たすことが「患者中心」を代替してしまっているのではないか,という疑問が生じる.理念を語るほど,その中心に患者がいるのかどうかが見えにくくなる逆説がある.本稿では,この“患者中心”が抱える構造的パラドックスに焦点を当て,その制度化が生み出したズレと,看護が回復すべき本質的な実践について考察する.
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