特集 通号200号記念特集! 2026年の現在地と未来図 ~“進化”し“深化”するがん看護~
第1章:がん看護の現在地 ~見えているようで見えていないもの~
がん看護の進化と制度の変遷
荒尾 晴惠
1
Harue ARAO
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.126-129
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango31_126
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がん対策
がんは,1981年に死亡原因の第1位となり,4人に1人ががんで死亡するということから,わが国における重要な健康課題となった.そのため,がん罹患率の減少やがんによる死亡率の減少を目指して,がん医療の向上やがん研究推進のためにさまざまながん対策が講じられてきた.がんに対する政策の大きな転換点は,2006年の「がん対策基本法」の成立,2007年4月からの施行にある.これにより,日本のどこの地域においても標準的ながん医療を受けられるという,がん医療の取り組みが始まった.基本理念には,がん医療の均てん化の促進のほか,がんに関する研究の推進と成果の普及,がん患者の意向を十分尊重したがん医療提供体制の整備が明記された.
また,「がん対策基本法」に基づき,2007年にがん対策の推進を図るための「がん対策推進基本計画」が策定された.この計画は,第1期は2007年度からの5年間を対象とし,以後5年ごとの見直しを行い継続されることになった.計画の全体目標には①がんによる死亡者の減少,②すべてのがん患者およびその家族の苦痛の軽減ならびに療養生活の質の維持向上の2つが示された.全体目標の達成に向けた分野別政策や重点的に取り組むべき課題も明記され,課題の一つに,治療の初期段階からの緩和ケアの実施が掲げられた.計画の実現にあたっては,各都道府県の状況をふまえて「都道府県がん対策推進計画」を策定することになり,現在も続いている.2023年4月からは,第4期がん対策推進基本計画に基づいたがん対策が行われている.

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