特集 医療の公益性とは─医療法人制度改革の現状
医療法人制度の変遷と課題
伊藤 伸一
1,2
1社団法人日本医療法人協会
2社会医療法人大雄会
キーワード:
医療法人制度
,
相続税
,
持分なし医療法人
Keyword:
医療法人制度
,
相続税
,
持分なし医療法人
pp.128-132
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102456
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昭和25(1950)年に医療法人制度が設立されて,すでに63年の歳月が経過してきた.医療法人制度発足の趣旨は「民間医療機関の資金の集積を容易にし,医療機関の経営に永続性を付与し,もって私人による医療機関の経営困難を緩和する」ことであった.終戦直後の混乱の中で,医療者が事業を継続するために心血を注いで創設した新たなこの制度は,その後の民間医療機関の発展を支え,世界に冠たるわが国の医療制度の基礎を築き上げてきたのは周知の事実である.
そして,医療を取り巻く環境が大きく変化する中で,医療法人制度は細部の修正によって時代に適合した制度として,医療提供体制の一翼を担ってきた.しかし,平成18(2006)年の第5次医療法改正において,医療法人の主体であった持分を有する法人の新規設立が認められなくなり,さらにそれら法人が制度の本流からまったく外れてしまうような大幅な見直しが行われた.そのうえ,改正医療法の施行後も税制面での制度整備が進まず,持分なし法人への移行が困難であることが,医療現場に混乱を招いている.
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