特集 患者の思いを引き出して支え,力を高める意思決定支援
意思表示できない患者の方向性決定に必要な支援のポイント
安永 浩子
1
Hiroko YASUNAGA
1
1国立病院機構九州がんセンター緩和ケアセンター/がん看護専門看護師
pp.166-170
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_166
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はじめに
1970年代,米国では判断能力を失った際の将来の医療行為に対して事前に意向を示すadvance directive (AD)を推進したが,その効果は限定的で,ADでは医療現場の複雑な問題に細かく対応できないことやADについて十分話し合っていなかったことなどの課題が挙げられた1,2).そこで,本人の価値観や意向について繰り返し話し合うプロセスを重視するadvance care planning (ACP)という概念が生まれた.2018年,わが国においても「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスガイドライン」にその概念が盛り込まれ,国を挙げてACPの普及啓発を行っている3).
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