連載 臓器別がん 最新エビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【13】
精巣がん ~胚細胞腫瘍~
高見澤 重賢
1
,
内野 慶太
1
1NTT東日本関東病院 腫瘍内科
pp.317-323
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_317
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治療の全体像と薬物療法
●ステージ別標準治療(セミノーマ)●
●ステージⅠ●
経過観察 or カルボプラチン単剤
●ステージⅡA, ⅡB●
放射線療法 or 導入化学療法
●ステージⅡC以上●
導入化学療法
●再発●
救済化学療法
●ステージ別標準治療(非セミノーマ)●
●ステージⅠ●
経過観察 or BEP(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)療法
●ステージⅡA(S0)●
経過観察 or 後腹膜リンパ節郭清 or 導入化学療法
●ステージⅡA(S1),ステージⅡB以上●
導入化学療法
●再発●
救済化学療法
胚細胞腫瘍とは,胎生期の多分化能をもつ生殖細胞(胚細胞)が腫瘍化したものであり,生殖器(精巣,卵巣)と体中心線にあたる部位(縦隔,後腹膜,仙骨部,松果体,神経下垂体部)に好発し,組織学的にはセミノーマと非セミノーマに分類される.今回は精巣がんとして精巣原発の胚細胞腫瘍について取り上げる.
エコー検査などの画像検査で精巣に腫瘍を認め悪性が疑われれば,治療的診断として高位精巣摘除術を行い,ステージングを行う(図1).組織型,ステージに合わせて治療方針を組み立てていく.また,胚細胞腫瘍のリスク分類として,国際胚細胞腫瘍予後分類(International Germ Cell Consensus Classification:IGCCC)が広く用いられており,good prognosis(予後良好),intermediate prognosis(予後中間),poor prognosis(予後不良)に分類される(表1).
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