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はじめに
年間約2万人のAYA (adolescents and young adults)世代が,がんの診断を受けており,その90%以上を20歳以上が占めている.その中でも,未成年の子どもがいるがん患者の全国推定値は,2011年時点で56,143人であり,その子どもは87,017人である1).子どもの平均年齢は11.2歳であり,多くが小学生以下である.また,当院における入院患者のうち18歳未満の子どもがいる患者の割合は24.7%で,4人に1人は子どもがおり,育児とともにがん治療を受けている2).
子育て世代のがん患者は,治療と並行していく中で,治療によりこれまで親として当たり前にできていたことができなくなり,「子どもに申し訳ない」「心配をかけたくない」などさまざまな気がかりを抱くことがある.また,「子どもに病気をどう伝えたらよいのか」「いつもと異なる子どもの様子・反応が気になる」など,不安や葛藤を抱えていることも多い.患者やその子どものそれぞれのニーズやタイミングに合わせた支援が求められている.
当院では2019年に未成年の子どもがいる患者・家族に対する支援として,ホスピタルプレイスタッフを中心に緩和ケアチーム医師,心理士,看護師,MSWなど多職種支援チーム“PC-Panda (parents with cancer and children support-professionals and associates)”を結成し,支援体制強化に努めている.筆者は,緩和ケアチーム看護師とPC-Pandaメンバーの両方の役割から,院内で組織横断的に活動している.今回,病状進行時に子どもに病気や病状についてどのように伝えたらよいか葛藤している患者・家族への親子支援を経験したため,報告する.
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