連載 臓器別がん 最新エビデンスに基づいた薬物療法と看護の実践 【12】
前立腺がん
近藤 千紘
1
1国立がん研究センター東病院 腫瘍内科
pp.201-205
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_201
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治療の全体像と薬物療法
●ステージ別標準治療●
●限局期●
超低リスク・低リスク・中間リスク・高リスク・超高リスクに分類し,下記から選択.
前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)監視療法・手術・放射線療法+/-ホルモン療法
●進行期・転移性去勢感受性前立腺がん●
high volume/low volume, high risk/low riskに分類し下記から選択.
ホルモン療法+/-抗がん薬(ドセタキセル)
●進行期・転移性去勢抵抗性前立腺がん●
抗がん薬・PARP (poly [ADP]-ribose polymerase)阻害薬
前立腺がんは高齢者に多い比較的緩徐な進行のがんである.
限局期の場合,治療適応を期待余命やリスクに応じて決定する.手術には術後の尿失禁や性機能障害,放射線療法には治療後の尿閉や血尿・直腸出血,性機能障害などの合併症が想定されるため,患者の希望も考慮した選択が重要である.
進行期の標準治療はホルモン療法(表1)である.また,LH-RH (luteinizing hormone-releasing hormone)阻害薬治療中に増悪した状態を去勢抵抗性とよぶ.化学療法は,去勢抵抗性前立腺がんの選択肢であるが,近年は薬物療法開始時にとくに腫瘍量が多い場合,ホルモン療法と併用して一定期間ドセタキセルを投与するupfront化学療法の治療戦略が用いられることも増えている.
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