特集 いま知っておきたい がんのリハビリテーション最新 Tips
Ⅰ.がんのリハビリテーションとは
がんのリハビリテーションの概要
土方 奈奈子
1
,
辻 哲也
2
Nanako HIJIKATA
1
,
Tetsuya TSUJI
2
1国立がん研究センター東病院リハビリテーション科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室,国立がん研究センター東病院リハビリテーション科
pp.617-620
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_617
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
がんのリハビリテーションは,がんと診断された時から開始され,あらゆる時期に行われる.治療の時期によって,予防的・回復的・維持的・緩和的の4つの段階に分けられる(図1)1,2).
リハビリテーションの対象となる機能障害は,がんそのものによる障害と,がん治療に伴って生じる障害とに大きく分けられる(表1)3).能力低下は,機能障害によって生じる活動の障害を指し,日常生活動作(activities of daily living:ADL)や手段的ADL(instrumental activities of daily living:IADL)が該当する.
リハビリテーション治療は,機能障害に直接アプローチする治療(例:乳がん手術後の肩関節可動域制限に対する上肢機能訓練)と,能力低下の治療,すなわちその時点での機能障害の範囲内でできることを増やす治療(例:自助具を使用したIADL訓練)の両者が行われる.
© Nankodo Co., Ltd., 2023