特集 がん薬物療法の看護技術
第Ⅲ章 有害事象
口腔粘膜炎×セルフケア支援
大内 紗也子
1
1京都大学医学部附属病院看護部管理室/がん看護専門看護師
pp.487-490
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_487
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はじめに
口腔粘膜炎とは,抗がん薬や放射線の直接作用によるもの(直接毒性)と,骨髄抑制や粘膜の保護能を有する唾液成分の喪失など,二次的に口腔粘膜に影響を与えるもの(間接毒性)の2つの因子により発症する1).
血液疾患,および造血幹細胞移植を受ける患者は,抗がん薬や放射線療法による直接作用によって引き起こされる口腔粘膜炎に,移植後は免疫機能が抑制されていたり,慢性移植片対宿主病(GVHD)により口腔粘膜障害や唾液分泌低下などによって生じる口腔粘膜炎に悩まされることがある2).また,強い骨髄抑制が生じる薬物療法や造血幹細胞移植を行うため,口腔粘膜炎が生じる確率は非常に高く,血液疾患看護としては口腔粘膜炎への対処は必須である(表1).
本稿では,主に血液疾患患者の口腔粘膜炎への看護ケアについて述べる.
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